【Skill UP】映画『米寿の伝言』試写会



2018年に大阪で舞台化された「米寿の伝言」

主演は父。出演に孫。プロデューサーは娘。若い頃に「演劇の道」を目指し諦めざるを得なかった父のために、3世代の絆と愛が生んだくすっと笑えて心温まる作品だ。大阪、東京で公演された舞台では、連日チケットが完売するほどの大成功を収めた。そんな舞台「米寿の伝言」が満を持して映画化され、5月にアクロス福岡で公開される。

今回は、プロデューサーである西本浩子さんに、本作品についてのお話を伺った。



ACT『米寿の伝言』プロデューサー:西本 浩子】


  父への愛が生んだ奇跡 

「私は、お父さんが大好きなんです」

プロデューサーである西本浩子さんは真っ直ぐな目で語る。父への深い愛と家族の絆が父の夢であった「役者」への道を切り開いたのだ。浩子さんの父、西本匡克さんは、小中高大と演劇部や研究会に入り、青春の多くを「演劇」に費やしてきた。しかし、若くして弟を不慮の事故で亡くし匡克さんは一人っ子となってしまったのだ。就職を目の前にした匡克さんは「役者」という夢を諦め、堅実な「教師」という職に就くことを決意する。

その後、高校で長年教鞭をとり、大学教授となった匡克さんは74歳まで教師一筋の人生を送った。その間、役者をしたいという思いを家族に打ち明けることもなく、ただ実直に教育者としての道を歩んだのである。

浩子さんも成長し結婚、3人の子どもたちに恵まれることになった。子どもたちはすくすくと育ち、長男と次男は現在役者になっている。二人の舞台を父と観劇すると、父は決まって息子たちに駄目出しをしていたのだ。そんな父の横顔を見ているうちに「お父さんの心の中には、まだ役者への魂が残っているんじゃないか」と思うようになったのだ。その思いは、いつしか「父を役者として舞台に立たせたい」という、浩子さんの夢になっていった。

父への感謝と深い愛を原動力として始動した舞台『米寿の伝言』プロジェクトは、多くの方々の協力を経て作品化され、2018年に大阪TORII HALLにて初演された。その後、東京の上野ストアハウスでも公演され、連日チケット完売の大成功を収めたのだ。大阪・東京公演の成功は、幼少期から抱いていた役者への夢を実現させた父と、父の夢を実現させたいと願い全力で走りきった娘、浩子さんの思いに一つの区切りをもたらした。

  舞台からスクリーンへ… 

2019年から世界中に蔓延したコロナウイルス。外出は制限され、人との交流も極端に減少していき、人々の生活は一変した。そんな状況は、西本家にも少しずつ影響を与えていったのである。

2018年2019年と夢の実現を成し遂げた父であったが、長引くコロナウイルスの影響は、父からあの時の輝きを奪っていったのだ。舞台上で生き生きと役を演じていた父が、元気を失っていく姿を目の当たりにすることは浩子さんにとっても辛い瞬間であった。

そんな姿を見て、浩子さんはまたしても父のために大きなプロジェクトを立ち上げる。それは、より多くの方々に作品を届けるために舞台『米寿の伝言』の映画化だ。しかし、映画を制作することは容易ではなく、制作費の面でも1000万円ほどが必要になり、家族だけの力では実現が難しいことは明白であった。そこで、2022年クラウドファンディングを使用して映画化プロジェクトへの支援募集を開始した。

『米寿の伝言』制作への思いや、映画化への願いを込めたプロジェクトは、2ヶ月程の期間で300名以上の支援を集め、400万円以上の資金を調達することができたのだ。温かい多くの支援を受けて無事に映画の制作がスタートし、父、匡克さんが85歳となった2023年に映画『米寿の伝言』はクランクアップ。舞台からスクリーンへと形を変え継承された作品は、大阪で初上映された。

「映画を見終わった後に『おじいちゃんおばあちゃんに連絡したい』『新しいことに挑戦したい』そんな風に思ってもらえれば嬉しいです」家族をつなぐきっかけや、挑戦への後押しに、この作品がなってくれればと浩子さんは語る。



 〜 あらすじ 〜

(引用:映画『米寿の伝言』ACT)
(引用:ACT【Youtube】)

 〜 上映予定 〜



次回は【シニアフォト撮影会&終活セミナー】