みらいあん終活講座③

7月から3ヶ月間に渡って、弁護士や司法書士・看護師など専門家の方々をお招きして、それぞれの視点から「終活」ついてお話いただきました。

多くの方の来場、ありがとうございました。



次回「終活講座」は11月を予定しております!
お問い合わせは
☎0120-946-142まで!


セミナールポ1

家族信託・死後事務委任とは?

講師:岡﨑篤嗣(弁護士)

本日1人目の講師は「あずま綜合法律事務所」岡﨑弁護士。20年弱の弁護士キャリアの中で、数多くの相続問題を解決に導いてきた実績があります。今日は「終活」を進めるうえで知っておいてほしい制度である「家族信託・死後事務委任」について講演いただきました。


「マンションで一人暮らしをする母親が認知症と診断された…」他県に住む長男は、その知らせを聞いて心配すると同時に、これからの母親の生活について考えていた。自分には妻と高校生の子どもがおり、妻の両親と同居している。母親をこちらに呼び寄せて、同居しながら介護することは難しい。しかし、認知症の母親をこのまま一人で生活させることはできない…。家族や兄弟と話し合った結果、母親の住んでいるマンションの部屋を売却し、その資金を施設の入居費用や生活費に充てることになった


この話は「認知症の母親が所有するマンションを息子が売却し、その資金で施設へ入居する」という内容です。親が認知症と診断された場合には、同じ選択をする方も多いのではないでしょうか。

しかしながら認知症になる前に「家族信託」の契約を親子間で結んでいなければ、このような選択はできません。息子であっても母親の財産であるマンションを代わりに売却することはできないのです。

家族信託とは…

『財産を有する者が、特定の目的(自分の老後の生活・介護などに必要な資金の管理及び給付など)に従って、その保有する不動産・預貯金などの資産を信頼できる人(家族・第三者)に託し、その管理・処分を任せる財産管理の方法』

つまり、家族信託の契約を結んでおくことで、冒頭の例にあった母親所有のマンション(不動産)を処分する権利を息子は持つことができます。そして、契約書にマンションを売却した資金を施設の入居費用や生活費にあてることを明記することで、問題なくできるようになるのです。

ただし、家族信託の契約は「認知症」と診断されたあとに締結することはできません。そのため、元気なうちから自分の財産を誰に託すのかをしっかりと考える必要があります。

日本において認知症患者の数は600万人を超えて、2年後の2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症患者になるとの推計も出ています。つまり、誰しもがこのような状況に陥る可能性があると言えるのです。だからこそ元気なうちに「終活」をスタートする必要があります。準備さえしておけば、残された家族に迷惑をかけることもなく、自分自身も安心して残りの時間をいきいきと過ごすことができるのですから。



自宅介護?施設入居?

講師:溝口喬也(㈱つなぐ看護師.com 代表)

訪問看護/ケアプランセンター/福祉タクシーの事業を展開する株式会社つなぐ看護師.com/株式会社ナースのおむすび溝口喬也代表に「自宅介護?施設入居?」をテーマに講演いただきました。


父が突然自宅で倒れてしまいました。母が急いで救急車を呼び、駆けつけた救急隊の処置を受けながら父は病院へと搬送されました。病院へ到着し、父の状態を検査した医師からは「脳梗塞」を発症していること、また手術が成功しても後遺症が残る可能性があると告げられたのです。その後、なんとか手術も成功し、数日後には意識もはっきりと戻ってきました。しかし、父は後遺症によって右半身をうまく動かすことができません。少しでも以前の状態に戻り、自立した生活が送れるようにリハビリを受けることになりました。父は厳しいリハビリを頑張ってこなし、以前の状態とはいかないものの歩行器を使いながらの移動ができるまでに回復しました。その経過を医師が診て、無事に退院できることになりました。


多くの人は、このタイミングで「自宅に帰るか、施設に入居するのか」の決断を迫られることになります。本人の意向はもちろんのこと、介護する側の家族の意向も反映する形で「施設」か「自宅」かを選択することになります。

「自宅」に帰ることを選択した場合は、バリアフリー環境にするための工事が必要になってくるかもしれません。また、手すりやスロープの設置も必要になってくる場合もあります。つまり、自宅を改装するための「費用」が必要に
なってくるわけです
また「施設」に行くことを選択した場合は、複数ある介護施設の特徴を理解し、適切な施設を選択したうえで、入居金や生活費などの「費用」を準備する必要があります。

「自宅」であっても「施設」であっても、多額の資金が必要になってくるという現実があります。その費用を少しでも軽減するために活用される制度が「介護保険」なのです。

介護保険の適用を受けるためにはケアマネージャーによる要介護度の認定が必要になってきます。7段階の介護区分のどの段階に適用されるかによって、1ヶ月に利用可能な介護保険のサービス利用限度額が変わってきます。その限度額の範囲内では1割負担(収入による)でサービスの利用ができるため、家計への負担は軽減されます。

お金の面以外にも、考慮しないといけない部分があります。それは「心」の部分です。自宅介護を選択した家族にとっては、四六時中の介護により家族相手とはいえ、少しずつ心身ともに疲弊していくことが多くあります。そのため、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを積極的に活用していくことも重要です。

また、介護を受ける本人にとっても「心」の問題はあります。体が思うように動かなくなったことを一番悔しく感じているのは本人ではないでしょうか。家族に迷惑をかけたくないと思っているのに、自分自身でやれることには限界がある…。そんな葛藤の中で、生活をしていくことで本人も同じように疲弊していってしまうのです。

「お墓参りに行きたい」「旅行に行ってみたい」「旧友に会いに行きたい」そんなことを思ってみても、全て家族の支援が必要になってきます。家族に迷惑をかけないために一人で外出したいと考えて、タクシーを使ったとしても、万が一移動中に体調が悪化した場合にすぐに対応するのは難しいでしょう。そんなときに、我々の運営する「福祉タクシー」がお手伝いいたします。二種免許を取得した看護師がドライバーをしているため、万が一の場合でも適切な対応ができ、安心して「お墓参り」や「友人との食事、旅行」などに行くことができます。

老後資金2000万円の発言などで「お金」の部分に注目されがちではありますが、本当に考えるべきは「心」の部分なのではないでしょうか。


次回「終活講座」は11月を予定しております。
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次回は【でんでん虫の会 永田貴子】